小金沢連峰 岡松ノ峰(1345m)、デクゴヤ(1241.7m) 2011年11月23日
所要時間 6:30 橋−−7:44 岡松ノ峰−−8:04 鉄塔−−8:09 デクゴヤ−−8:28 鉄塔−−8:35 車道−−8:38 橋
概要
桑西集落から奥に向かって2つ目の橋を起点に周回。この橋で真木川に合流する沢の左岸尾根を登って岡松ノ峰へ。達筆標識あり。デクゴヤの北西肩には送電鉄塔があり、デクゴヤから橋近くまで巡視路がある
小金沢連峰主脈から派生する尾根には地形図には名前が記載されていないが山名事典に記載された山がいくつもあり、まだかなりの登り残しがある。ここは近場なので短時間しか暇が無い時のためにとってあり、勤労感謝の日は1日の休みなのでこの時こそ利用すべしと向かうことにした。今回の目的地は真木の奥の桑西集落の西側の岡松ノ峰とデクゴヤである。2つの山頂は接近し、効率がいいルート選定をすれば時間も節約できよう。
さてルートであるが、山頂に一番近い車道は大峠へと続く県道なのでこれを利用するのが一番。どこから取り付くかであるが、真木川はそこそこ大きな沢なので渡渉は無理っぽく、山腹側に車道が通っているところから取り付くのがいい。その中で一番標高が高いところとなれば、桑西集落から2つ目の橋付近がいいだろう。
そこからデクゴヤへと至る北から東向きの尾根が一番明瞭で傾斜も適度、デクゴヤ経由で岡松ノ峰に至るまではいいが、その先が問題だ。岡松ノ峰から橋へとは適度な場所に尾根が下っているが、これがまた傾斜が急な場所がある。ここを無事通過できるかが問題だ。岡松ノ峰に至って往路を戻るのが一番安全と思われるが、いかにもつまらない。それに余分な登りが加わるのが無駄だ。となるとリスクが高い場所は登りで使うのが順当だろう。無雪期だから岩さえなければどうにかなるだろう。地形図を見る限りでは痩せ尾根ではないだろうし。
予定の橋 | 橋の少し上流側に駐車スペースあり |
大月ICで降りて甲州街道を西に走り、真木で右に曲がって標高を上げ、最後の集落である桑西を過ぎると人家は消えて真木川沿いをウネウネと上がっていく。目標の橋はすぐに分かり、周辺に駐車場はなかったので僅かに上がったところのカーブの余地に車を置く。ちょうど周囲は明るくなったばかりであったが気温は高め、長袖シャツでOKだが歩いていればTシャツでOKになりそうだ。
簡易吊橋で真木川を渡れた | 黒い導水管から噴水のような水漏れ |
橋まで戻るとちょうどいいことに吊橋があり、これで直接登りで使う尾根に取り付ける。真木川に注ぐ支流の水量は少なく、吊橋が無くてもそれほど苦労はしないだろうけど。橋と一緒に送水管が設置され、もしかしたら桑西の水源になっているのかもしれない。橋はこれのメンテ用なのだろう。送水管には水漏れがあって噴水のように3mくらいまで噴き上がっていた。まだぜんぜん凍っていないのでやっぱり冷え込みは弱い。
笹混じりの尾根に取り付く | 落葉樹林が続く |
ちょっとだけ笹が出現 | 枯れた大きな木 |
対岸に渡り、目の前の斜面に適当に取り付く。最初からいきなりの急な登りが続く。ミズナラ、コナラ等の落葉樹林に薄い笹が混じっているが、一部だけなので北側から迂回して登っていく。枯れた大きな立ち木があり、穴には石が詰め込まれているのを見るとここを歩いた人がいるのは間違いない。でも目印類は一切見当たらないし、上部に行ってもやっぱり見あたらなかった。このまま笹が出っぱなしだとウザいなぁと思ったが、少し高度が上がるときれいさっぱり消えて無くなった。やっぱり首都圏のこの程度の標高の山は籔のない落葉樹林じゃないと。
傾斜が緩んだ地点 | 標高1100mの急斜面 |
左から露岩の尾根が合流 | 露岩の右側を巻いて登る |
僅かに階段状に傾斜が緩む個所があったが概ねいい感じの傾斜で、効率的に高度を稼ぐ。やはりすぐに体が発熱してTシャツ1枚でちょうど良くなった。地形図通り標高1100mで斜面が立ちあがって急な登りになる。崖があるわけではないが、落ち葉に隠れた下には落石がごろごろとあり足元が不安定なのがちょっと。今回はこの急斜面対策でピッケル代わりにストックを持ってきた。石でズルっと滑ってもストックが支点で効くので体ごとずり落ちることはなく、持ってきて正解だった。急斜面区間は尾根がバラけて広い斜面で、ここを下りで使って尾根にぴたりと乗るのはかなり難しいかも。今は落葉しているので、もしかしたら下部の尾根が見えるかもしれないけど。左から顕著な尾根が現れるが岩っぽく、尾根に乗って安全に上がれるか分からないのでそのまま右を巻いて登る。相変わらず傾斜がきついがこちらは落葉樹林が続いて危険個所は無い。
標高1240mで尾根に乗る | 熊棚 |
1280m小ピーク手前から枯れた笹 | 1280m小ピークを下る |
標高1240mで尾根に乗る。同時に傾斜が緩まって尾根も明瞭化、しかし相変わらず目印皆無だ。ここへきて尾根が穏やかになって周囲を見渡す余裕ができると多数の熊棚を発見。木の幹には熊が木登りした跡もちゃんと残っていた。まだこの気温では熊は寝ていないだろうなぁ。水平な尾根を西に進んで1280mで尾根が左に曲がるところは小ピークになっていて、ここから再び笹が現れるが最近になって笹が開花したらしく全て枯れて葉が無くなっていた。あと数年もすれば今立っている茎も倒れてきれいさっぱりの地面になりそうだ。
山頂まで枯れた笹が続く | 岡松ノ峰山頂 |
古びた標識 | 久々の達筆標識 |
低密度の笹尾根を登り切ると笹がぷっつりと切れて開けた場所に到着。ここが岡松ノ峰だった。三角点はないが山頂標識があり、そのうち一つは久しぶりに目にする達筆標識であった。裏面を見ると「04.9.3」の文字が。もう7年前のものだった。山頂も落葉樹林に覆われて、落葉した今の時期は展望は皆無ではないがすっきりとは見えない。木の隙間から滝子山や白谷ノ丸、雁腹摺山が見えていた。まだ雪は全く見えない。
デクゴヤへつながる尾根を下る | 南に開けた個所あり |
さあ、次はデクゴヤだ。明瞭な尾根でつながっているので迷うことは無いだろうし、その方向には点々と赤テープが付いている。尾根に乗って南東に少し下ったところで南の展望が開けた場所があり、デクゴヤ山頂ピークとその手前に送電線鉄塔が見えている。おお、そういえば車道から登り始めで頭上付近に送電線が見えたのだが、今の地形図では送電線が描かれなくなったためどこを通っているのか分からなかったのだが、まさかデクゴヤ山頂近くだったとは。ということは送電線巡視路があるはずで、デクゴヤからの下山に使えるはずだ。通常は巡視路は送電鉄塔から一番近い車道に起点があるはずで、おそらく私が登った付近に入口があるはずだ。試しに下りに使ってみるのもいいだろう。
地形がバラけた急な尾根を下る | 下ってきた斜面を振り返る |
展望個所から先で傾斜が相当きつくなり、尾根が不明瞭になって立ち木に掴まりながらの下りとなった。こういうルートが分かりにくい個所にはテープは無く、枯れた樹林の隙間から先の尾根の状況を観察してルートを見分ける。急傾斜の距離は短いのですぐに明瞭ななだらかな尾根に戻り歩きやすくなる。尾根上には特に道があるわけではないが籔は皆無で歩くには支障はない。
尾根が細くなり明瞭化 | 古いワイヤーロープ |
デクゴヤへの登り | 1220m肩の送電鉄塔 |
送電鉄塔から見た小金沢連峰 | |
送電鉄塔から見た富士山と三ッ峠。11月後半だと言うのに富士山の雪が少ない! |
1170m鞍部からは登りにかかるが植生は変わらず歩きやすい尾根が続く。途中にワイヤーロープが巻かれた枯れ木があるがこの付近は植林は無く、下部の植林作業のために索道として使われたものだろうか。日影に入って寒い尾根を登り、1220m肩に出ると大きな送電鉄塔が登場、ここは立ち木が伐採されて東以外の展望が良好で、今回のコース中で唯一の大展望を楽しめる個所だ。この東のデクゴヤ山頂で休憩するよりも鉄塔下で休んだ方がよさそうだが、今回は休憩するほど歩いていないので素通り。
鉄塔より巡視路 | 広く緩やかな尾根を登る |
デクゴヤ山頂 | 古びた達筆標識 |
ここより先は黄色い杭とともに巡視路が登場、すぐに左手に下るのかと思いきや、そのような道は見当たらずデクゴヤ山頂に向かっているようだ。尾根上は広い道となり緩やかに上ってデクゴヤ山頂に到着。三角点が頭を出し、劣化が進んだ手製の山頂標識には「大久保山」との文字が。よく見ると達筆標識だった。もしかしたらエアリアマップには大久保山と書かれているのか。裏の署名を確認すると「04.9.3 再」と書かれており、製作当初は年月日は書かれていなかったようだ。ここも落葉樹林に覆われて視界皆無ではないがすっきりとは見えなかった。
北東方向に向かう | 無事に北東尾根に乗る |
落ち葉に埋もれた階段で巡視路だと判明 | 目印があるが道は明瞭 |
下山であるが、当初は北東尾根を下る予定であったが、巡視路がどこに下りるのか気になるので巡視路を辿ることにする。しかし肝心の巡視路がどう続いているのか山頂付近は落葉に覆われて判別不可能だ。残念だが巡視を探索は諦めて北東尾根を下ろう。最初は尾根が緩やかで地形が分かりにくく方向を定めて北東に下ると下方に明瞭な尾根が見えて一安心。本格的に下り始めると落ち葉に埋もれて隠れた階段が登場、どうやら巡視路らしい。所々で黄色い巡視路案内標識が登場する。
標高1120m付近で巡視路が一時的に左に逃げる | 急な個所にはロープあり |
デクゴヤを見上げる | 標高1000m付近で植林帯に突入 |
巡視路は概ね北東尾根上に付けられていた。傾斜が増す標高1120m付近で巡視路が左に逃げて私は尾根をまっすぐ下ったが、巡視路はジグザグって再び尾根に合流。その後はずっと尾根上を行く。標高1060m肩では直進せずに北に分岐する尾根に入る計画だったが、巡視路もその通りに付いていた。標高1000m付近で自然林から植林に変わる。
標高950m肩の鉄塔分岐 | 標高950m肩の送電鉄塔 |
巡視路下部はトラバースが続く | 上水道施設? |
林道入口(巡視路入口) | 巡視路入口反対側の廃屋。いい目印 |
標高950m肩では巡視路から僅かに右に外れた場所に送電鉄塔が登場。巡視路は北向きの尾根に移り、このまま下れば橋のたもとに下れると喜んだが、やがて道は右にトラバースし始める。どこに下ろされるのか興味津々で進んでいくと今度は左にトラバースするように進路変更、最後はプールのような水を貯めた小さな施設が登場し、そこに至る短い車道を経て県道に出た。そこには廃屋があり、その少し上には上水道施設らしきものが。これらがいい目印になるだろう。しかし不思議なことにここには送電線巡視路の標識はなかった。
車を置いた場所までは少し車道を登らなくてはならいが、距離にして200m程度か。まだ早い時刻で県道を通行する車もほとんど無かった。